2016年11月25日金曜日

第8回 ピエロ・デッラ・フランチェスカの壁画

今日はアレッツォの サン・フランチェスコ聖堂のピエロ・デッラ・フランチェスカの「聖十字架伝説」の壁画を中心として、

聖十字架伝説、
ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵画、絵画の特徴、
壁画の技法、ピエロ・デッラ・フランチェスカが描いたところ、弟子の手によるところ
この聖堂の壁画の並び方(政治的意味合いもある?)、
フィレンツェのサンタクローチェ教会の聖十字架伝説の壁画との比較(50年の違いで、こちらはルネッサンスの明快さを持ったものとなっている)など、詳しく説明していただきました。

先週教えていただいた、「スポルヴェロ技法」が随所に見られます。壁画制作において、時間の節約、合理化ができたそうです。





「受胎告知」の左上に描かれている「父なる神」と、






「ヘラクリウス帝のコスロエス(ホスロー王)への勝利」

右の方に描かれている「コスロエス」の顔が同じ!


 同じカルトーネのコピーを使ったと思われます。

2016年11月18日金曜日

第7回 15世紀の壁画ースポルヴェロ技法

フレスコ画は名前(フレスコ→フレッシュ)にあるように、漆喰が乾くまでに急いで描かなければなりません。
遠近法を絵に取り入れようとすると どうしても描くのに時間がかかってきます。
早く描くためにマザッチョは下絵を方眼を使って拡大し壁面に描く、という方法をとりました。



15世紀の壁画では「画期的な道具」が使われるようになります。。「紙」です。
紙は14世紀にはなかった。

紙を使った「スポルヴェロ法」というフレスコ画の描き方、
そして、フラ・アンジェリコ、アンドレア・デル・カスターニョ、ドメニコ・ヴェネチアーノの解説をしていただきました。











Attribution: I, Sailko

アンドレア・デル・カスターニョのサンタポローニャ修道院壁画装飾ではスポルヴェロ 法が確認されます。

また、実際の建物の「右」に窓。
壁画の右にも窓。だまし絵のような光も構図に取り入れられています。





来週金曜10時半は「アレツッオ」の駅前で集合!

2016年11月4日金曜日

第6回 15世紀半ばの壁画ーパオロ・ウッチェロ



今日はパオロ・ウッチェロ(1397~1475)についてでした。
By The original uploader was MM at Italian Wikipedia 



ウッチェロは「いとも甘美なる遠近法」と叫んだ、と伝えられるように、遠近法の研究に没頭した人といわれています。


フィレンツェの サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の「緑の回廊」に「旧約聖書の物語」の壁画が描かれています。
ウッチェロはその中の2面+αを描いたらしいです。

ウッチェロの壁画「ノアの物語;大洪水」

(画面左:洪水前方舟、中央:洪水中、右:洪水後方舟)は
極端な遠近法が採用されていることで有名です。




市松模様の帽子を首にかけた若者は棍棒を持って方舟を割ろうとしています。
はしご(円形帽子の市松模様もはしごも遠近法表現のため)。

遠近法に加え、洪水のパニック状態の時に水泳する若者たち・口から水を吹き出す・・人物の行動も細かく見ていくと面白いです。






右側にはエウゲニウス4世 (ローマ教皇)が大きく描かれ、「フィレンツェで行われた1439年の東西宗教会議」との関連がしばしば指摘されるそうです。




3D効果の出る遠近法も研究していたそうです。